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介護業界では資格取得が重要視されており、キャリアアップや待遇改善の鍵となっています。本記事では、2024年7月時点の情報をもとに、介護職に役立つ資格の種類や取得方法、メリットについて詳しく解説します。
介護職を目指す方や、すでに介護の現場で働いている方にとって、今後のキャリアプランを考える上で参考になる情報を紹介します。
介護職における資格の重要性
介護職において資格は、専門知識や技術の証明となるだけでなく、キャリアアップの重要な要素です。 スキルアップ研究所の調査によると、医療福祉・心理系資格を取得した方の満足度は77.5%と高く、資格取得が待遇改善やキャリアアップにつながっていることが分かっています。
また、有資格者による介護であれば、ご利用者やご家族の方々にも安心感を与えることができます。
介護職で働くために特に知っておくべき3つの資格
介護職でより活躍するための資格には、数多くの種類があります。中でも初心者の方には「初任者研修」や「実務者研修」が役立ちます。さらに、「介護福祉士」の資格を取得することで、より専門的なケアを提供でき、キャリアアップにもつながります。これらの資格は、実務での対応力を高めるために重要です。数ある資格の中でも、まずはこの3つの資格をご紹介します。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護の基礎知識と技術を学ぶ入門レベルの研修です。 130時間の講義と実習で構成され、介護の基本や認知症の理解、介護技術の基礎などを学びます。
この研修を修了すると、訪問介護員(ホームヘルパー)として働くことができます。費用は地域や実施機関によって異なりますが、おおよそ5万円から15万円程度です。
研修期間は通常2〜3ヶ月ですが、短期集中コースでは1ヶ月程度で修了できる場合もあります。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、介護福祉士国家試験の受験資格を得るために必要な研修です。450時間の講義と実習で構成され、介護職員初任者研修よりも深い知識と技術を学びます。
医療的ケアや介護過程の展開など、より専門的な内容が含まれています。費用は10万円から20万円程度で、通信教育を利用すれば6ヶ月から1年程度で修了できます。
この研修を修了すると、介護福祉士国家試験の受験資格が得られるだけでなく、より専門的なスキルを持って介護サービスを提供できるようになります。
介護福祉士
介護福祉士は、介護の国家資格です。介護福祉士になるには、介護福祉士養成施設を卒業するか、実務経験3年以上と実務者研修修了後に国家試験に合格する必要があります。
試験は毎年1月に実施され、2024年に実施された「第36回介護福祉士国家試験」の合格率は82.8%という結果でした。
介護福祉士は、介護技術や知識が一定水準以上であることを証明する資格であり、多くの介護施設で優遇されています。 また、サービス提供責任者になるための要件の一つでもあります。
介護職関連の資格取得のメリット3つ
介護職関連の資格を取得することで、以下の3つのメリットが得られます。
キャリアアップ・スキルアップ
資格取得は、専門知識や技術の向上につながります。 例えば、介護福祉士の資格を取得すると、より専門的スキルや視野が身につくため、幅広い介護サービスを提供できるようになり、責任ある立場に就くチャンスが増えます。
厚生労働省の調査によると、介護福祉士の資格を持つ介護職員の平均給与は、資格を持たない職員と比べて約2万円高いことが報告されています。
同僚や顧客からの信頼獲得
資格は、専門性の証明になります。介護の現場では、利用者やその家族、同僚からの信頼を得ることが重要です。資格を持っていることで、「この人は専門的な知識や技術を持っている」という印象を与え、信頼関係を築きやすくなります。
特に介護福祉士のような国家資格は、高い信頼性を持っています。介護福祉士は、介護の中で唯一の国家資格であるため、社会的信頼性が高いことが特徴です。介護福祉士の資格を取得することで、職場やご利用者から専門的な知識や技術を持っていると評価されます。
就職・転職の幅が広がる
資格を持っていることで、就職や転職の際に有利になります。 資格があれば、自分のスキルの証明にもなり、自己アピールの材料としても役に立ちます。
また、資格によっては特定の職種に就くための必須条件となっているものもあります。例えば、サービス提供責任者になるには介護福祉士または実務者研修修了が必要です。
より専門的な資格3選
基本的な資格に加えて、より専門的な知識や技術を証明する資格もあります。ここでは3つの専門的な資格を紹介します。
認知症ケア専門士
認知症ケア専門士は、認知症の人とその家族を支援するための専門的な知識と技術を持つ専門職です。日本認知症ケア学会が認定する民間資格で、認知症ケアの質の向上に貢献しています。
資格取得には、3年以上の実務経験と所定の研修受講、試験合格が必要です。
認知症患者の増加に伴い、この資格の需要は高まっています。
福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員は、高齢者や障害者が適切な福祉用具を選択・使用できるよう支援する専門職です。資格取得には、指定講習の受講(50時間)が必要です。
福祉用具の選定や使用方法の指導を行うため、介護現場での重要性が高まっています。
介護予防運動指導員
介護予防運動指導員は、高齢者の介護予防を目的とした運動指導を行う専門職です。日本介護予防協会が認定する民間資格で、資格取得には所定の研修受講と試験合格が必要です。
高齢者の健康維持や介護予防の重要性が認識される中、需要が増加しています。
資格取得のプロセスと費用
資格取得のプロセスと費用は、資格によって異なります。
資格取得のプロセス
一般的な資格取得の プロセスは以下の通りです。
- 1.資格情報の収集と選択
- 2.受講申し込み(または受験申し込み)
- 3.講習受講または独学
- 4.試験受験(資格によっては不要)
- 5.合格・修了
- 6.資格証の取得
例えば、介護福祉士の場合、実務経験ルートでは3年以上の実務経験と実務者研修の修了後に国家試験を受験します。
一方、養成施設ルートでは、指定された養成施設で2年以上学んだ後に国家試験を受験します。
資格取得の費用
資格取得の費用は、資格の種類や取得方法によって大きく異なります。主要3種の資格については以下の通りです。
- 介護職員初任者研修:5万円〜15万円
- 実務者研修:10万円〜20万円
- 介護福祉士(実務経験ルート):実務者研修費用+受験料(1万8千円程度)
ただし、多くの自治体や事業所で資格取得支援制度を設けているため、実質的な負担は軽減される場合があります。
資格取得に向けた勉強方法とポイント
効果的な勉強方法と重要なポイントを押さえることで、資格取得の成功率を高めることができます。
勉強方法
資格取得のための効果的な勉強方法には以下のようなものがあります。
- テキストや問題集を活用した自己学習
- オンライン講座や通信教育の利用
- 資格スクールへの通学
- 職場での実践的な学習
- 勉強会やスタディグループへの参加
特に介護の資格は実践的な内容が多いため、職場での経験と結びつけて学習することが効果的です。
勉強のポイント
資格取得に向けた勉強のポイントは以下の通りです:
- 計画的な学習スケジュールの立案
- 基本的な用語や概念の理解
- 過去問題の徹底的な演習
- 実技試験がある場合は繰り返しの練習
- 最新の介護制度や法律の把握
特に介護福祉士などの国家資格では、制度や法律の改正に注意を払う必要があります。
また、実技試験がある場合は、理論だけでなく実践的なスキルの習得も重要です。
資格取得の支援事例
多くの自治体や事業所で、介護職の資格取得を支援する制度が設けられています。ここでは、東京都と大阪府の支援事例を紹介します。
東京都:初任者研修等資格取得支援事業
東京都では、介護職員初任者研修や実務者研修の受講費用を助成する「初任者研修等資格取得支援事業」を実施しています。
この制度では、研修受講費用の最大8割(上限額あり)が助成されます。対象者は、都内在住または在勤で、介護職として就労する意思のある方です。
2023年度の実績では、約1,000人がこの制度を利用し、資格を取得しています。この制度により、経済的な負担を軽減しつつ資格取得を目指すことができます。
大阪府:介護分野への就労・定着支援事業
大阪府では、「介護分野への就労・定着支援事業」を通じて、介護職への就労を希望する方や現職の介護職員の資格取得を支援しています。
この事業では、介護職員初任者研修や実務者研修の受講費用の一部を助成するほか、就労支援や定着支援も行っています。
2023年度の実績では、約500人がこの制度を利用し、そのうち約8割が介護分野への就労や継続就労を実現しています。この事業は、介護人材の確保と質の向上に大きく貢献しています。
参考:大阪府『令和6年度介護分野への就労・定着支援事業のご案内』
まとめ:介護職は資格無しでも活躍できるがキャリアアップには必要
介護職は、資格がなくても働き始めることができる職種です。しかし、キャリアアップや待遇改善、より専門的なケアの提供を目指すなら、資格取得は重要な選択肢となります。
介護職員初任者研修から始まり、実務者研修、介護福祉士と段階的にスキルアップしていくことで、より高度な知識と技術を身につけることができます。 また、認知症ケア専門士や福祉用具専門相談員などの専門資格を取得することで、特定分野でのエキスパートとして活躍することも可能です。
資格取得には時間と費用がかかりますが、多くの自治体や事業所が支援制度を設けています。これらの制度を活用することで、経済的な負担を軽減しつつ資格取得を目指すことができます。
介護の現場では、高齢化社会の進展に伴い、より質の高いケアが求められています。資格取得を通じて専門性を高めることは、自身のキャリアアップだけでなく、介護サービスの質の向上にも貢献します。
介護職を目指す方や、すでに介護の現場で働いている方は、自身のキャリアプランに合わせて資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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