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介護職の離職率は、長年にわたり業界の課題として取り上げられてきました。何かとストレスフルな職場のイメージが持たれやすい介護職ですが、実際の離職率はどのくらいなのでしょうか?
本記事では、介護職の離職率の現状や推移、高いと思われがちな理由、そして実際の退職理由について詳しく解説します。
介護職に興味のある方から、離職率に悩んでいる管理職の方まで、是非参考にしてください!
介護職の離職率の現状は?
介護労働安定センターが実施した最新の「介護労働実態調査」によると、介護職の離職率は近年改善し続けています。
この調査データをもとに詳しく解説します。
参考:公益財団法人|介護労働安定センター『令和5年度 介護労働実態調査結果』
介護職の離職率の推移
介護職員の離職率は、2023年度に13.1%を記録し、データを確認できる2007年度以降で最低となりました。
これは前年度より1.3ポイント低下しており、近年の低下傾向がさらに進んでいることを示しています。
以下に、最新のデータを含めた離職率の推移を示します。
- 2018年度:15.4%
- 2019年度:15.4%
- 2020年度:14.9%
- 2021年度:14.4%
- 2022年度:14.4%
- 2023年度:13.1%
他の職種との比較
2022年の厚生労働省「雇用動向調査」によると、全産業平均の離職率は15.0%でした。これに対し、介護職の離職率は13.1%と、全産業平均を下回っています。
このデータは、「介護職は離職率が高い」という従来のイメージが既に過去のものとなっていることを示しています。
介護職の離職率が改善している理由
調査では、離職率が低下傾向にある事業所・施設にその理由を尋ねています。主な理由は以下の通りです。
- 職場の人間関係の改善(63.6%)
- 残業削減、有休取得促進、シフト見直しなどの労働環境改善(45.6%)
- 賃金水準の向上(36.3%)
- 仕事と家庭の両立支援の充実(36.1%)
これらの取り組みが、介護職の離職率改善に寄与していると考えられます。
ただし、事業所・施設ごとの格差は依然として存在しており、離職率が10%未満の事業所が半数を占める一方で、20%以上の事業所も4分の1を超えています。
さらに、30%以上の高い離職率を示す事業所も1割強存在しています。
介護職の離職率が高いイメージがある4つの原因
介護職の離職率が高いというイメージが定着している理由には、いくつかの要因があります。ここでは、その主な原因について解説します。
原因1:慢性的な人手不足と業務負担の増加
介護業界では慢性的な人手不足が続いており、これが業務負担の増加につながっています。
人手不足により、一人あたりの業務量が増加し、長時間労働や休暇が取りにくい状況が生まれています。
このような環境が、離職率が高いというイメージにつながっている可能性があります。
原因2:ストレスフルな職場環境
介護職は、身体的にも精神的にも負担の大きい仕事というイメージを持たれています。
利用者やその家族との対応、緊急時の対応など、常にストレスにさらされる環境にあります。
このようなストレスフルな職場環境が、離職率の高さにつながっているという印象を与えています。
原因3:低賃金と待遇への不満
介護職の給与水準は改善傾向にあるものの、他の産業と比較してまだ低いと言われています。
厚生労働省の調査によると、2020年時点の介護職の平均年収は約330万円で、全産業平均の約436万円を大きく下回っています。
この低賃金と待遇への不満が、離職率の高さにつながっているという印象を与えています。
原因4:キャリアアップの機会不足
介護職では、キャリアアップの機会が限られているという印象があります。
資格取得や研修の機会が少ない、昇進のルートが明確でないなど、将来のキャリアパスが見えにくい状況が、離職率の高さにつながっているという印象を与えています。
離職率が高い職場を見分ける対策
介護職を探している方や、転職を考えている方にとって、一つの参考指標として離職率は気になる数字です。
ここでは、離職率が高い職場を見分けるための対策をいくつか紹介します。
対策1:求人の掲載期間の確認
求人サイトで同じ施設の求人が長期間掲載されている場合、離職率が高い可能性があります。
求人の掲載期間が長期間に及ぶ理由は、以下のようなものが挙げられます。
- 離職率が高い
- 事業拡大の最中
- 地方も含めた規模の大きい募集
- 将来に欠員が出たときのリスクヘッジ
このように、ポジティブな理由も考えられますので、あくまで可能性として捉えておきましょう。
不安な場合は、定期的に求人を出している施設よりも、安定した職場環境が整っている施設を選ぶことをおすすめします。
対策2:給与設定の確認
給与が業界平均を大きく下回っている場合、待遇面での不満から転職の可能性が高まり、離職率も高くなっている可能性があります。
給与だけでなく、賞与や各種手当なども含めた総合的な待遇を確認することが重要です。
対策3:具体的な募集要項の確認
募集要項に具体的な業務内容や勤務条件が明記されている職場は、透明性が高く、離職率が低い傾向にあります。
曖昧な表現や、過度に美化された表現が多い募集要項には注意が必要です。
対策4:面接時の対応
面接時の対応も、職場の雰囲気を知る重要な機会です。
面接官の態度や質問内容、施設見学の際の職員の様子などから、職場環境を推測することができます。
また、離職率や定着率に関する質問することも効果的です。
よくある退職理由
実際に介護職を退職する人々の理由を知ることは、離職率を改善するための重要な手がかりとなります。
ここでは、よくある退職理由とその背景について解説します。
退職理由1:拘束時間が長い
介護職では、シフト制や夜勤などにより拘束時間が長くなりがちです。
特に、人手不足の施設では残業が常態化し、プライベートな時間が確保できないことが退職理由となっています。
この問題に対しては、以下のような対策が効果的です。
- 適切な人員配置と業務の効率化
- 有給休暇の取得促進
- 柔軟な勤務形態の導入(短時間勤務、フレックスタイム制など)
退職理由2:職場環境が改善されない
人間関係の悪化や、業務改善の提案が受け入れられないなど、職場環境の改善が見られないことも大きな退職理由となっています。
この問題に対しては、以下のような対策が効果的です。
- 定期的な面談や意見交換の機会の設定
- 業務改善提案制度の導入
- チームビルディング活動の実施
まとめ:介護職の離職率は下がっている
本記事では、介護職の離職率の実態や、高いと思われがちな理由、そして実際の退職理由について解説しました。
重要なポイントをまとめると以下のようになります。
- 介護職の離職率は年々低下傾向にあり、特に2020年度は14.9%まで低下
- 全産業平均と比較しても、介護職の離職率は高くない
- 離職率が高いイメージの主な原因は「人手不足」「ストレスフルな環境」「低賃金」「キャリアアップの機会不足」など
- 実際の退職理由としては、長い拘束時間や職場環境の改善が見られないことなどが挙げられる
介護職の離職率を改善するためには、これらの課題に対して具体的な対策を講じることが重要です。
働きやすい職場環境を整備し、従業員の満足度を高めることで、離職率の低下と質の高い介護サービスの提供につながるでしょう。
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