目次
介護職は、人と人とのつながりが非常に重要な職業です。しかし、その特性ゆえに人間関係の悩みも多く発生し、時にはいじめの問題も起こりうります。
本記事では、介護職場でのいじめの実態、その影響について詳しく解説します。
本記事の最後では「介護職場でいじめを避けるための対処法」についても紹介していますので、是非最後までご覧ください。
介護職場でいじめが発生しやすい?
介護職場は、他の職種と比較していじめが発生しやすい環境にあると言われています。
以下の表は、公益財団法人介護労働安定センターが介護職の離職理由を調査した結果です。
退職理由(複数回答) | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|---|---|
家族の介護・看護のため | 3.40% | 4.10% | 4.90% | 5.00% | 4.50% |
結婚・妊娠・出産・育児のため | 13.30% | 20.40% | 19.90% | 8.20% | 8.40% |
病気・高齢のため | 3.00% | 3.10% | 3.10% | 3.40% | 3.10% |
定年・雇用契約の満了のため | 3.00% | 3.10% | 3.10% | 3.30% | 3.10% |
家族の転職・転勤、又は事業所の移転のため | 1.70% | 1.40% | 1.70% | 1.60% | 1.70% |
法人や施設・事業所の理念や 運営のあり方に不満があったため |
8.60% | 8.80% | 8.20% | 8.30% | 7.80% |
職場の人間関係に問題があったため | 23.20% | 34.30% | 26.80% | 26.30% | 19.90% |
自分に向かない仕事だったため | 6.60% | 6.80% | 6.70% | 7.10% | 7.60% |
自分の将来の見込みが立たなかったため | 16.20% | 16.40% | 16.50% | 15.80% | 13.20% |
収入が少なかったため | 16.60% | 16.00% | 16.40% | 16.60% | 16.00% |
新しい資格を取ったから | 7.60% | 9.80% | 7.70% | 7.60% | 5.90% |
他に良い仕事・職場があったため | 19.90% | 17.00% | 16.90% | 19.00% | 16.00% |
人員整理・勧奨退職・法人解散・事業不振等のため | 9.70% | 9.60% | 9.80% | 9.90% | 7.60% |
参考:公益財団法人介護労働安定センター『令和5年度 介護労働実態調査結果』
この調査結果を見ると、介護職を退職した人の約5人に1人が「人間関係」を理由に退職していることがわかります。ただし、人間関係に問題があったというだけなので、いじめがあったかどうかはわかりません。
同調査では約6割以上が何かしらの人間関係の悩みを抱えていることも判明していますので、介護業界全体の課題であると言えます。
人間関係の複雑さ
介護現場では、様々な立場の人々が密接に関わり合います。具体的には以下の通りです。
- 職員同士の関係(先輩・後輩、正社員・非正規職員など)
- 利用者と職員の関係
- 利用者の家族と職員の関係
- 多職種や他部署との連携(看護師、ケアマネージャー、リハビリ職など)
これらの複雑な人間関係の中で、コミュニケーションの齟齬や価値観の違いが生じやすい業界と言えます。利用者の方やご家族から要望に対して、上手く対応できなかった場合もストレスを感じるでしょう。これらのストレスが積み重なって、いじめにつながってしまう可能性があります。
介護業界特有の問題点
介護業界には、いじめに発展しやすい業界特有の問題点があります。
- 慢性的な人手不足:過度な業務負担がストレスを生み、業務負担の偏りがいじめの原因となります。
- 閉鎖的な環境:施設内にグループや派閥が存在する場合、争いやいじめの原因になります。
- 世代間ギャップ:若手とベテラン職員の価値観の違いから、いわゆる「新人いじめ」に繋がります。
- 専門性の違い:職種間での知識や経験の差によって立場が変わることもあります。立場を下に見てしまうといじめをする原因になってしまいます。
これらの要因が重なり合ってしまうと、介護職場でのいじめが発生しやすくなっています。管理職側は、これらの状況が生まれていないか注意深く職場を観察する必要があります。
介護職におけるいじめの具体的なケース
介護職場でのいじめは、様々な形で現れます。ここでは、よく見られるいじめのケースについて詳しく見ていきます。
無視や陰口の実態
無視や陰口は、介護職場でよく見られるいじめの一つです。
- 挨拶や質問を無視する
- 業務連絡を故意に伝えない
- 休憩時間に仲間外れにする
- 陰で悪口を言う
これらの行為は、被害者の孤立感を深めて、職場での居心地を悪くします。また、チームワークを乱し、業務効率の低下にもつながってしまいます。
仕事の押しつけ
自分がやりたくない仕事を、気に食わない職員に押し付ける行為も、いじめとしてよくある行為です。
- 不人気な業務(排泄介助など)を特定の人に集中させる
- 残業や休日出勤を強制する
- 能力以上の業務を任せる
このような行為は、被害者の身体的・精神的負担を増大させてしまいます。稀に意図せずに押し付けられていると感じ取ってしまうパターンもあるため、仕事を依頼するときは相手が納得しているかどうか注意してコミュニケーションを取りましょう。
理不尽な態度や指導(パワハラ)
上司や先輩からの理不尽な態度や指導は、いわゆるパワーハラスメントに該当します。
- 大声で怒鳴る
- 人格を否定するような発言をする
- 必要以上に厳しい叱責を行う
- 能力や経験を無視した過度な要求をする
これらの行為は被害者の自尊心を傷つけ、メンタルヘルスに深刻な影響を与えます。
新人や若手職員が受ける圧力(新人いびり)
新人や若手職員は、特にいじめの標的になりやすい傾向があります。
- 過度に厳しい指導
- ミスを必要以上に責める
- 質問や相談を受け付けない
- 孤立させる
新人いびりは、新人の成長を妨げ、早期離職の原因となります。また、職場全体の雰囲気を悪化させる要因にもなります。
介護職のいじめが職場に与える影響
いじめの被害者が最も辛い思いをしてしまうのは大前提ですが、いじめは個人の問題だけでなく、職場全体に大きな影響を与えてしまいます。いじめは職場の雰囲気を著しく悪化させ、以下のような影響を及ぼします。
- チームワークの低下:職員間の信頼関係が崩れ、協力体制が弱まってしまいます。
- モチベーションの低下:職員の仕事への意欲が減退し、急な欠勤や休職、ひいては退職に繋がります。
- ストレスの増加:いじめが発生した職場は、当事者だけでなく職場全体のストレスレベルが上昇する恐れがあります。
これらの結果、職場全体のサービスの質が低下し、利用者の満足度にも悪影響を与えます。もちろんですが、利用者がいじめの現場を目撃した場合は、職員への不信感を抱くことは免れません。
また、いじめは離職率の増加にも直結します。いじめが離職の原因になることは言うまでもないでしょう。
介護職場でいじめを避けるための対処法
いじめに遭遇した場合、適切な対処が必要です。ここでは、具体的な対処法をいくつか紹介します。
証拠を残して上司に相談する
- 日時、場所、内容を詳細に記録する
- 可能であれば、音声や画像などの証拠を収集する
- 信頼できる上司や人事部門に相談する
- 会社の相談窓口やホットラインを利用する
証拠を残すことで冷静に問題を客観視することができ、解決に向けた具体的な行動につながります。
中立な立場を保つ
- 感情的にならず、冷静に対応する
- いじめの加害者とされる人との直接対立を避ける
- 職場の規則やルールを遵守し、非があると指摘されないようにする
- 同僚を巻き込まず、問題を大きくしない
中立な立場を保つことで、問題解決の糸口を見つけやすくなります。例えば、いじめられたからといって感情的になり、暴力を振るってしまうと、かえって立場が悪くなる可能性があります。これ以上状況を悪化させないためにも、あくまで冷静に中立の立場を保ちましょう。
転職して職場を変える
人間にはどうしても相性というものがあり、自分に合わない人間は必ず存在します。状況が改善されない場合、思い切って転職するのも選択肢の一つです。
- 自身の安全と健康を最優先に考える
- キャリアプランを再考し、新たな環境を探す
- 転職エージェントや介護職専門の求人サイトを活用する
- 面接時に職場の雰囲気や人間関係について質問する
転職は大きな決断ですが、自身の成長と健康のためにも、常に選択肢として自分の中に持っておくことが大切です。
いじめの少ない介護施設を見分ける方法
介護職への就職を検討している方にとっては、いじめの少ない職場を選ぶことも重要な対策の一つです。ここでは、そのための方法を紹介します。
面接時に確認するポイント
- 職員同士の会話や態度を観察してみる
- 面接官の態度や言葉遣いに注目する
- 人間関係や職場環境について具体的に質問する
- 研修制度や相談体制について確認する
これらのポイントを確認することで、職場の実態をより正確に把握できます。コロナ禍を経てオンライン面接が普及しましたが、介護職においては職場見学をさせてもらうことをおすすめします。
ネットの情報や口コミ調査の重要性
実際に職場を訪れることをおすすめしていますが、訪れる前に情報収集することもできます。
- 口コミサイトや評判を確認する
- 知人や元職員から情報を得る
- SNSなどで施設の評判を調べる
GoogleマップやXなどのSNSで、職場の名前を検索してみることも有効です。利用者の口コミと職員の口コミ、両方の評判を確認するようにしましょう。
まとめ
介護職でのいじめは、個人の問題だけでなく、組織全体に大きな影響を与える深刻な問題です。
適切な対策と予防策を講じることで、いじめのない健全な職場環境を作ることは可能です。
しかし、いじめにあったり、いじめを発見したときは、思い切って職場を変えることも大切です。
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